歯のコラム

2024.05.26

歯科用マイクロスコープ

マイクロスコープは、顕微鏡の一種であり、微細な対象物を光学系を通じて拡大し、目に見えない細かな構造を見ることができます。

歯科用マイクロスコープは、1992年にアメリカのペンシルバニア大学の根管治療分野で応用されました。

日本での普及率は、5~10%です。初期においては、歯の根の治療(根管治療)に多く使用されていましたが、最近は、外科手術にも用いられています。

肉眼とマイクロスコープで見た違いを紹介します。

左の写真は、奥歯を肉眼で観察した場合で歯の根の神経の入り口(根管口)を観察することが難しいが、右の写真のマイクロスコープ下で観察した場合では、3つある根管口のうち1つは治療経験のある根管ですが、2つは未治療であることが判別できます。また、未治療の根管口は、プラスチック(支台築造用のレジン)で埋められています。肉眼でこのプラスチックを取り除いて根管治療するにはパーフォレーション(歯に穴を開けてしまう)してしまうリスクが大きく、困難です。マイクロスコープを用いることにより今まで勘と手探りで行っていたことが、明確に観察ができるので、肉眼で観察の治療より偶発事故のリスクを低くでき、治療の回数を少なくし、成功率を高めることができます。

マイクロスコープの根管治療における欠点は、最後臼歯(一番奥の歯)を直視下で観察が難しくミラー下での観察になりやすい。弯曲した根は、根管口を見ることができますが、根尖(歯根の先っぽ)を見ることができません。

マイクロスコープは、ミクロン単位の仕事が多い歯科治療において、診査診断、根管治療(歯の根の治療)、歯周治療(ポケット内の診査・治療)、修復治療(詰めたりかぶせたりする治療)、外科治療(歯周外科、口腔インプラント)などに応用されています。精密な歯科治療にマイクロスコープは、欠かせないものになってきました。しかし、日本で普及が進まないのは、機器が高価でコストがかかること、そのコストを保険治療で賄えないこと、例えば我が国の根管治療費は、保険診療でおよそ9,000円、アメリカは、150,000円位、フィリピンで50,000円~です。残念ながら我が国の根管治療費は大変低料金になっております。

よく見えるが故に治療に時間がかかること、高度な精密技術を必要とするなどが挙げられます。
マイクロスコープにより治療の精度が確実に上がり、使用しない場合より治療成績が良いと報告されています。

歯を失って高額なインプラントを入れるより、より良い治療をして生まれながらに在る歯を長く持たせることが大切だと考えております。

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