2024.02.28

矯正装置をはずした後

矯正装置をはずした後、どうすればよいか。
矯正治療で、動的治療終了したら保定にはいります。

保定とは、動的治療で歯を動かした後にその状態を保つために歯を固定しておくことです。
では、なぜ保定が必要なのでしょうか。

矯正治療で歯の移動は、歯根の周りの骨の吸収と添加が起きることによって移動するため、骨や周囲の軟組織が安定するまで、時間がかかります。
矯正治療で動かした歯列は、元の歯列から新しい環境下にあるため、歯や周囲の筋肉が順応するまで変化しやすい。
上記のことから、矯正治療で保定は、必須です。

保定の方法

保定法(リテーナー)は、自然保定と器械保定の2種に分けられています。
自然保定とは、口腔周囲の筋肉、歯の接触、歯周組織等の支持によって達成される保定です。
器械保定は、矯正治療で動かした歯を器械を用いて保持する保定です。ほとんどの場合この保定をします。

器械保定装置の種類と利点・欠点

器械保定装置は、可撤式装置と固定式装置があります。
可撤式保定装置は、自分で取り外しができる装置です。
利点は、取り外して食事、歯磨きが出来るので生活に制限を受けることがない。
欠点は、装置を入れていないと歯が動いて入らなくなる。装置を入れているとき違和感がある。装置の手入れの必要があります。

固定式保定装置は、歯に接着等で固定する装置です。
利点は、取り外しの必要がない。装置によっては、見た目が目立たない。
欠点は、装置が口の中に固定されているので、違和感がある。歯みがきが難しくなる。歯に接着しているところが取れて歯が動くことがある。

可撤式保定装置

ホーレータイプ、ベッグタイプリテイナー

唇側線と舌側のレジン床からなる装置です。
利点:比較的丈夫で壊れにくい。(10年以上使用している方もいます。)
欠点:違和感がある。唇側線のワイヤー(表側の針金)が審美的に劣る。

トゥースポジショナー

軟性のシリコンゴムで上下一体の歯列全体を覆うリテイナーです。
利点;垂直方向の保定に有効、ポジショナーで歯の移動も可能。
欠点:違和感が大きい。製作に費用費が高い。

 マウスピースタイプリテイナー(インビジブルリテイナー)

上下別々に歯列全体をプラスチックシートで覆うタイプのリテイナーです。
利点:目立たない。違和感が少ない。
欠点:破損しやすい。(歯ぎしり等で、歯列の噛む面から破損しやすい。)

固定式保定装置

舌側接着リテイナー

歯の裏側にワイヤーを接着剤で接着して固定するリテイナーです。
利点:外から見えないので、審美性が良い。
欠点:歯に接着で固定されているので、違和感がある。接着が剥がれることがあり、そのままにしておくと剥がれている歯が動くことがある。歯みがきが難しくなる。

保定装置の装着時間と期間

保定装置の装着時間は、不正咬合の症状によりますが矯正治療の動的治療終了後1年は、食事、歯みがき時以外は、装着してください。
1年後は、夜間のみ装置。
期間は、最低でも動的治療期間と同じ期間装着してください。
装置の装着時間と期間は、平均的な目安です。個々の症状によって変わりますので、ご注意ください。
※人間は、あごの骨格と筋肉の構造上、物を食べて咀嚼することで、歯には前方への力がかかりますので、リテーナーは、長く使用することをお勧めします。

2024.01.09

マルチブラケット装置のセルフライゲーションブラケットとは

従来のブラケット装置にワイヤーをリガチャ―ワイヤーもしくはエラストマーで結紮します。結紮することでワイヤーはブラケット装置に押し付けられるため、歯が移動するのに摩耗力が大きくなり移動させるのに大きい力をひつようとします。セルフライゲーションブラケット装置は、ブラケット装置にワイヤーを保持する機構が付いており従来のブラケット装置のようにワイヤーを縛り付けないので歯の移動における摩耗抵抗が小さいので弱い力で効率よく移動させることができます。

従来はブラケットとワイヤーをエラスティックで強く締め付けていましたので、大きな摩擦力が生じていました。

 

 

 

 

 

 

セルフライゲーションブラケット(写真デーモンクリア)ではエラスティックが不必要となり、ブラケットに付属するシャッターを閉じるだけです。ワイヤーをまったく締め付けないようになったため、摩擦抵抗が小さくなります。

 

 

 

 

 

 

当院のセルフライゲーションブラケット装置は、世界で700万症例以上使われているデーモンシステムを採用しています。デーモンシステムは、アメリカの歯科矯正医であるDr. Dwight H. Damonが考案し、1996年にOrmco社から販売され、順次変更改良が加えられ最新の矯正治療システムです。

このシステムは、セルフライゲーションブラケット(デーモンブラケット)と従来のステンレスワイヤーでなく形状記憶合金ワイヤーから成り立っています。

デーモンシステムの利点

セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)の利点は次の通りです。

1.弱い力で歯が動く

ワイヤーがブラケット装置にエラストマーで結紮されていないので、歯の移動における摩耗抵抗が小さいので、弱い力で歯の移動が可能です。

2.効率的に歯を動かせる

デーモンシステムブラケット装置と形状記憶合金ワイヤーとの組み合わせにより、弱くて持続的な矯正力が働くと歯が最も速く効率的に動くことが生物学的に分かっています。

3.非抜歯治療の可能性が高まる

デーモンシステムは、舌や口腔周囲の筋肉からの力を受けて、歯列は側方へ自然と拡大します。今まで拡大が難しい場合でも拡大することがありますので、非抜歯治療の可能性が高まります。

4.顎間ゴムが効きやすい

矯正治療中は、顎間ゴムと呼ばれる小さな取り外し可能な輪ゴムを、上下の歯に掛けて頂く場合があります。このゴムにより、噛み合わせをしっかりした状態にしたり、受け口や出っ歯を改善したりします。従来型のブラケット装置に比べてセルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)では、個々の歯が自由に動けるような状態でワイヤーにつながれているため、弱い顎間ゴムでもとても良く効きます。

5.清掃しやすい、変色がない。

従来のブラケット装置はワイヤーをエラスティック等で留めるため周囲が不潔になりやすく、清掃性が悪かったのですが、セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)では、が不要になったので、とても清掃しやすくなっています。また、ワイヤーを留めるエラストマーの変色を心配することもなくなります。

ワイヤーを留めるエラスティックは変色します。

6.1回の治療時間が短い

ブラケットにワイヤーをとめるのに使用していたエラスティックが不要になりましたので、1回あたりの治療時間も短くなります。長時間口を開けっ放しにするのは辛いものですから、治療時時が短くなったことにより気楽に通院して頂けます。お子様の矯正治療でメリットを感じます。

7.来院間隔の間隔が長くなる

デーモンブラケットとハイテクワイヤーを組み合わせて使用すると、長期間にわたって持続的な矯正力と効果を発揮しますので次回の来院まで、矯正力が有効に働きますので、来院頻度が2~3か月の来院で済むことがあります。

8.患者さんごとの生理的にあった治療である

自然な歯列の側方拡大効果など、患者さん各人の持てる力を引き出した結果です。また、弱い矯正力のおかげで、食事中の歯が噛み合わさった時でも、歯と歯を支えている歯槽骨・歯周組織との間で、本来持っているダイナミックな反応が起こりますので、歯の生理的な状態が維持されます。セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)では強引に歯を並べるのではなく、無理をせず自然な変化として歯をキレイに並べてゆきます。

9.歯への負担が少ない

セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)では、従来よりも弱い矯正力によって歯に与えるダメージを最小限にできるため、咀嚼筋や顎関節にかかる負荷も軽減されます。歯根吸収も少ない。

セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)の欠点

セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)の欠点は次の通りです。

1. 従来型ブラケット装置に比べて大きさが大きい。

ブラケット装置にワイヤーを結紮する機構が付いているため、装置が従来型ブラケット装置にくらべ大きくなります。

2.ブラケット装置の価格が高い

ブラケット装置に複雑な機構が付いているので、価格が高くなります。

まとめ

セルフライゲーション型マルチブラケット装置は、従来型ブラケット装置を用いたマルチブラケット法にくらべ利点が多いく、おすすめです。しかし、当院では、治療費が従来型ブラケット装置のマルチブラケット法より高くなります。
また、セルフライゲーション型マルチブラケット装置は、世界中では数十種類も販売されているらしいのですが、その中でも歴史が古くかつ毎年のように進化、改良してバージョンアップしているデイモンシステムをお勧めいたします。

デイモンシステムは、単にマルチブラケット装置にセルフライゲーション型ブラケットを使用しているのでなく、ハイテクワイヤーとの組み合わせにより、個人個人の口腔内(あごの大きさや口の周囲の筋肉など)に合った歯の移動を可能にしていますので、生体に優しいマルチブラケット装置の矯正治療といえます。だから、世界で700万症例以上も売れたと思います。それは単にブラケットの完成度が高いだけでなく、セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)で治した症例のクオリティがあまりにも高かったのだと思います。

2023.11.16

大人の矯正治療

大人の矯正治療

大人の矯正治療は、あごの成長が終了しているので、成長を利用した治療はできないので、現状の歯並びを治していくことになります。
大人の矯正治療のための装置は、子ども矯正で使用する取り外しの入れ歯の様な装置からマルチブラケット装置まで症状に合わせて使います。主に使われる装置は、マルチブラケット装置かマウスピースタイプの装置になります。

 マルチブラケット装置は、ブラケットという装置を個々の歯に接着し、ワイヤーを通して歯に矯正力をかけながら歯並びを整える装置で、古くから使用されて近年、材料やブラケット装置の改良でより一層能率が良くなっています。

ブラケットが小型化し、目立たない白色のブラケット(セラミックブラケット)や摩擦の少ないブラケット(セルフライゲーションブラケット)があります。
セルフライゲーションブラケットは、治療のステージによっては、来院間隔が1か月ごとでなく2~3か月ごとの来院で済むことがあります。
セルフライゲーションブラケットは、ワイヤーをブラケット装置に結紮(ブラケット装置にワイヤーを縛り付ける)しないので、ブラケット装置とワイヤーの摩擦が少なく歯の移動を弱い力で行うことができます。結紮するブラケット装置に比べ痛みが少なく、歯根吸収や歯肉退縮が軽減できるメリットがあります。また、治療期間の短縮、来院回数を少なくすることができます。ブラケット装置が従来のものに比べ複雑になりますので、費用が高くなるデメリットがあります。

マルチブラケット装置のメリット

  • ・殆どすべての症例に対応可能
    ・ベーシックな装置のため、リーズナブル(メタルブラケット装置の場合)
    ・細かい微調整ができ歯軸をコントロールできる
    ・摩擦が少ないセルフライゲーションブラケット、白や透明なブラケットなど、目立たない装置を選択することができる

マルチブラケット装置のデメリット

  • ・表側矯正かつ金属ブラケットの場合、目立ちやすい
    ・ワイヤーやブラケットの隙間に汚れが溜まりやすく、虫歯や歯肉炎のリスクがある
    ・矯正力による鈍い痛みや違和感がある。口内炎ができることもある。
    ・上あごと下あごの装置に毎日ゴム掛けをすることがあるが、キチンとやらないと治らない。
    治療効果は、患者様によって個人差があります。

マウスピースタイプ矯正治療

近年、増加しているマウスピースタイプの矯正治療は、1998年にアメリカで始まったといわれています。
マウスピースタイプの矯正治療は、歯を少しずつ動かした状態のマウスピースを入れることで、歯を移動させる装置です。そのため治療終了までのマウスピースの数は、数十枚になります。マウスピースは一日20時間装着する必要があります。

マウスピースタイプ矯正治療のメリット

  • ・マルチブラケット装置ようにワイヤー、ブラケット装置がないので、外観が良い、歯ブラシ等の清掃がしやすい。
  • ・食事の食品制限が少ない。
    ・マルチブラケット装置の治療より痛みが少ない。

マウスピースタイプ矯正治療のデメリット

  • ・一日20時間は、入れていなければいけない。
    ・マルチブラケット装置より細かい歯軸のコントロールが劣る。
    ・治療可能な不正咬合が限られる。
    ・奥歯まで動かせないシステムもある。

※マウスピースタイプ矯正治療は、近年多数のメーカーがあり、注意が必要です。

当医院では、歯科矯正検査、診断後に各々に合った治療装置をご提示いたします。

2023.10.27

子どもの矯正

当医院の矯正治療は、第一期治療と第二期治療に分かれています。
第一期治療は、乳歯列から永久歯萌出完了までです。
第二期治療は、永久歯萌出完了後でいわゆる大人の矯正治療です。

子どもの矯正(小児矯正)

第一期治療(子ども矯正)は、お子様に負担の少ない治療を第一にお勧めします。
当院での第一期治療は、お口の周囲の筋の緊張を取り除いたり、機能回復、あごの成長を促進したりして、永久歯歯列(歯並び)への準備期間としています。
矯正装置には、日中1時間と就寝時に装着する装置から食事と歯を磨く時以外一日中、着けていなければならない装置があります。個々の歯並びの悪さ(不正咬合)によってどのような装置で治療していくか変わります。
また、成長期のお子さんの矯正治療は、成長に合わせて矯正装置を変えていかなければいけません。

装着の種類

可撤式矯正装置(ご自分で取り外ししてもらう)

機能矯正装置

口の周りの筋肉の緊張を緩和したり、気道の確保等をおこない歯列(歯並び)を適切な位置に誘導します。(図1,2,3,)

利点

装着している時間が、就寝時、昼間1~2時間で、装着時間が短い。食事時は、外すので、食品制限がない。歯みがき時も外して磨くので、今まで通りでよい。

欠点

一日装着して次の日装着しない、装着を指示通りしない、装着しないと治らない。歯の捻転(歯がねじれてはえている)は、治しにくい。

床矯正装置

あごを側方または前方に広げて、永久歯のはえ代わるスペースを確保する。
1~3歯を移動させたりする装置。(図4,5,6,)

利点

食事時は、外すので、食品制限がない。歯みがき時も外して磨くので、今まで通りでよい。

欠点

食事と歯みがき時以外は、装着していないといけない。一日装着して次の日装着しない、装着を指示通りしない、装着しないと治らない。歯の捻転(歯がねじれてはえている)は、治しにくい。

固定式矯正装置

歯に矯正装置が付いたままで、治療終了まで取り外ししない装置です。(図7.8.9)

利点

固定式なので、歯に持続的な矯正力がかけられる。

欠点

食事時は、食品制限がある。歯みがきが、難しくなる。

これらの装置は、不正咬合(悪い歯並び)の状態を精密検査、診断して、個人個人に合った装置をいれていきます。(当院の歯科治療は、検査をしないで診断することは、勘で治療することですので、おこなっていません。)

治療費用について

歯並びやあごの成長状態が個人個人で違います、治療を始める時期で第一期治療期間が変わりますので、一律いくらという料金体系でなく、装置ごとの費用を頂いています。
(装置は、あごの成長に合わせて交換が必要になります。)
既成も機能矯正装置(マルチファミリー、オーソテイン、U-concept、ムーシールドなど)…¥30,000円
拡大床、リンガルアーチ、バイオネーター、チンキャップなどオーダーメイドの装置…¥50,000円~
セクショナルアーチ(部分的なマルチブラケット装置)…¥120,000円(片顎)

矯正治療の注意点

※日本矯正歯科学会の記載例を引用

  • • 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
    • 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
    • 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
    • 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
    • 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
    • ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
    • ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
    • 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
    • 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
    • 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
    • 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
    • 矯正装置を誤飲する可能性があります。
    • 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
    • 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
    • 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
    • あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
    • 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
    • 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
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