歯のコラム

2024.05.26

歯科用マイクロスコープ

マイクロスコープは、顕微鏡の一種であり、微細な対象物を光学系を通じて拡大し、目に見えない細かな構造を見ることができます。

歯科用マイクロスコープは、1992年にアメリカのペンシルバニア大学の根管治療分野で応用されました。

日本での普及率は、5~10%です。初期においては、歯の根の治療(根管治療)に多く使用されていましたが、最近は、外科手術にも用いられています。

肉眼とマイクロスコープで見た違いを紹介します。

左の写真は、奥歯を肉眼で観察した場合で歯の根の神経の入り口(根管口)を観察することが難しいが、右の写真のマイクロスコープ下で観察した場合では、3つある根管口のうち1つは治療経験のある根管ですが、2つは未治療であることが判別できます。また、未治療の根管口は、プラスチック(支台築造用のレジン)で埋められています。肉眼でこのプラスチックを取り除いて根管治療するにはパーフォレーション(歯に穴を開けてしまう)してしまうリスクが大きく、困難です。マイクロスコープを用いることにより今まで勘と手探りで行っていたことが、明確に観察ができるので、肉眼で観察の治療より偶発事故のリスクを低くでき、治療の回数を少なくし、成功率を高めることができます。

マイクロスコープの根管治療における欠点は、最後臼歯(一番奥の歯)を直視下で観察が難しくミラー下での観察になりやすい。弯曲した根は、根管口を見ることができますが、根尖(歯根の先っぽ)を見ることができません。

マイクロスコープは、ミクロン単位の仕事が多い歯科治療において、診査診断、根管治療(歯の根の治療)、歯周治療(ポケット内の診査・治療)、修復治療(詰めたりかぶせたりする治療)、外科治療(歯周外科、口腔インプラント)などに応用されています。精密な歯科治療にマイクロスコープは、欠かせないものになってきました。しかし、日本で普及が進まないのは、機器が高価でコストがかかること、そのコストを保険治療で賄えないこと、例えば我が国の根管治療費は、保険診療でおよそ9,000円、アメリカは、150,000円位、フィリピンで50,000円~です。残念ながら我が国の根管治療費は大変低料金になっております。

よく見えるが故に治療に時間がかかること、高度な精密技術を必要とするなどが挙げられます。
マイクロスコープにより治療の精度が確実に上がり、使用しない場合より治療成績が良いと報告されています。

歯を失って高額なインプラントを入れるより、より良い治療をして生まれながらに在る歯を長く持たせることが大切だと考えております。

2024.05.19

歯科用CTとマイクロスコープ

歯科用CT(コンピュータ断層撮影)

歯科用CT(コンピュータ断層撮影)は、従来の2次元のレントゲン撮影に比べて、人体の周りを機械が回転してX線をあてながら体内の情報を集め、コンピュータ処理をして輪切り像を撮影する検査のことです。15秒で人体の内部の様子を3次元で詳しく調べることができ、歯や周囲の組織を非常に詳細に見ることができます。これにより、歯の状態や根の形態などをより正確に評価することが可能になります。

上の画像は、下の犬歯の一つ後ろの歯(第一小臼歯)の歯ぐきが腫れています(その後ろの歯が根の治療中ですが!?・・・)。平面のレントゲンで観察すると根の治療済みの歯でした。歯科用CTで撮影し、歯を水平断面で見るとお薬(根充材)とは別に根管(神経が入っていた管)が確認できます。腫れの原因は、下顎第一小臼歯が2根管のために起きていることがわかります。

上の画像は、左下奥歯の根の治療前に全体像を把握するのに2次元像のパノラマレントゲン、CTで前額断や矢状断、水平断面から観察ができるので、根管の状態、骨内の病巣状態を明確に把握でき治療を能率的に進めることができます。

この画像は、インプラント周囲炎で、インプラントの周りの骨がなくなって上顎洞(蓄膿症丹なったときに膿んでしまう所)に波及しているのがわかります。近年機器の進歩により、金属が入っていても画像がハレーションを起こさず、たいへん見やすくなっています。

歯科用CTは、歯のみでなく口腔周囲をある程度の範囲で撮影できるので、歯科領域以外の疾患がみられる場合は他科に受診をお勧めすることができます。この画像は、副鼻腔に病変(耳鼻科領域)がみられます。

このように通常のレントゲン写真ではわかりにくい立体的に見ることにより、歯や顎の骨組織の3次元的な形態の把握、病巣の状態を正確に理解し、治療計画を立てることができます。

技術の進歩により、歯科用CTの撮影時の放射線被曝量が低減されています。これにより、患者への被曝リスクを最小限に抑えながら、必要な情報を取得することができます。

 歯科用CTは、高精細での撮影で、歯の根管状態を把握できて根管治療の成功率を高めます。他にインプラント手術の計画、歯科矯正治療、歯周病の評価など、さまざまな歯科治療において役立ちます。

歯科用CTは非接触型の検査ですので、患者に痛みや不快感を与えることなく撮影が行えます。当院のCTでは、高精細で15秒で撮影が終わります。

これからの歯科診療において歯科用CTは非常に有用であり、より正確な診断や治療欠かせないものです。

ただし、健康保険では、撮影する部位や症状により適応が細かく決められており保険で出来ない場合もあります。その場合は、自費での撮影になります。

当クリニックの費用は、健康保険の3割負担で、3,700円位、自費で12,000(税込)になります。

2024.02.28

矯正装置をはずした後

矯正装置をはずした後、どうすればよいか。
矯正治療で、動的治療終了したら保定にはいります。

保定とは、動的治療で歯を動かした後にその状態を保つために歯を固定しておくことです。
では、なぜ保定が必要なのでしょうか。

矯正治療で歯の移動は、歯根の周りの骨の吸収と添加が起きることによって移動するため、骨や周囲の軟組織が安定するまで、時間がかかります。
矯正治療で動かした歯列は、元の歯列から新しい環境下にあるため、歯や周囲の筋肉が順応するまで変化しやすい。
上記のことから、矯正治療で保定は、必須です。

保定の方法

保定法(リテーナー)は、自然保定と器械保定の2種に分けられています。
自然保定とは、口腔周囲の筋肉、歯の接触、歯周組織等の支持によって達成される保定です。
器械保定は、矯正治療で動かした歯を器械を用いて保持する保定です。ほとんどの場合この保定をします。

器械保定装置の種類と利点・欠点

器械保定装置は、可撤式装置と固定式装置があります。
可撤式保定装置は、自分で取り外しができる装置です。
利点は、取り外して食事、歯磨きが出来るので生活に制限を受けることがない。
欠点は、装置を入れていないと歯が動いて入らなくなる。装置を入れているとき違和感がある。装置の手入れの必要があります。

固定式保定装置は、歯に接着等で固定する装置です。
利点は、取り外しの必要がない。装置によっては、見た目が目立たない。
欠点は、装置が口の中に固定されているので、違和感がある。歯みがきが難しくなる。歯に接着しているところが取れて歯が動くことがある。

可撤式保定装置

ホーレータイプ、ベッグタイプリテイナー


唇側線と舌側のレジン床からなる装置です。
利点:比較的丈夫で壊れにくい。(10年以上使用している方もいます。)
欠点:違和感がある。唇側線のワイヤー(表側の針金)が審美的に劣る。

トゥースポジショナー

軟性のシリコンゴムで上下一体の歯列全体を覆うリテイナーです。
利点;垂直方向の保定に有効、ポジショナーで歯の移動も可能。
欠点:違和感が大きい。製作に費用費が高い。

 マウスピースタイプリテイナー(インビジブルリテイナー)

上下別々に歯列全体をプラスチックシートで覆うタイプのリテイナーです。
利点:目立たない。違和感が少ない。
欠点:破損しやすい。(歯ぎしり等で、歯列の噛む面から破損しやすい。)

固定式保定装置

舌側接着リテイナー

歯の裏側にワイヤーを接着剤で接着して固定するリテイナーです。
利点:外から見えないので、審美性が良い。
欠点:歯に接着で固定されているので、違和感がある。接着が剥がれることがあり、そのままにしておくと剥がれている歯が動くことがある。歯みがきが難しくなる。

保定装置の装着時間と期間

保定装置の装着時間は、不正咬合の症状によりますが矯正治療の動的治療終了後1年は、食事、歯みがき時以外は、装着してください。
1年後は、夜間のみ装置。
期間は、最低でも動的治療期間と同じ期間装着してください。
装置の装着時間と期間は、平均的な目安です。個々の症状によって変わりますので、ご注意ください。
※人間は、あごの骨格と筋肉の構造上、物を食べて咀嚼することで、歯には前方への力がかかりますので、リテーナーは、長く使用することをお勧めします。

2024.01.09

マルチブラケット装置のセルフライゲーションブラケットとは

従来のブラケット装置にワイヤーをリガチャ―ワイヤーもしくはエラストマーで結紮します。結紮することでワイヤーはブラケット装置に押し付けられるため、歯が移動するのに摩耗力が大きくなり移動させるのに大きい力をひつようとします。セルフライゲーションブラケット装置は、ブラケット装置にワイヤーを保持する機構が付いており従来のブラケット装置のようにワイヤーを縛り付けないので歯の移動における摩耗抵抗が小さいので弱い力で効率よく移動させることができます。

従来はブラケットとワイヤーをエラスティックで強く締め付けていましたので、大きな摩擦力が生じていました。

 

 

 

 

 

 

セルフライゲーションブラケット(写真デーモンクリア)ではエラスティックが不必要となり、ブラケットに付属するシャッターを閉じるだけです。ワイヤーをまったく締め付けないようになったため、摩擦抵抗が小さくなります。

 

 

 

 

 

 

当院のセルフライゲーションブラケット装置は、世界で700万症例以上使われているデーモンシステムを採用しています。デーモンシステムは、アメリカの歯科矯正医であるDr. Dwight H. Damonが考案し、1996年にOrmco社から販売され、順次変更改良が加えられ最新の矯正治療システムです。

このシステムは、セルフライゲーションブラケット(デーモンブラケット)と従来のステンレスワイヤーでなく形状記憶合金ワイヤーから成り立っています。

デーモンシステムの利点

セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)の利点は次の通りです。

1.弱い力で歯が動く

ワイヤーがブラケット装置にエラストマーで結紮されていないので、歯の移動における摩耗抵抗が小さいので、弱い力で歯の移動が可能です。

2.効率的に歯を動かせる

デーモンシステムブラケット装置と形状記憶合金ワイヤーとの組み合わせにより、弱くて持続的な矯正力が働くと歯が最も速く効率的に動くことが生物学的に分かっています。

3.非抜歯治療の可能性が高まる

デーモンシステムは、舌や口腔周囲の筋肉からの力を受けて、歯列は側方へ自然と拡大します。今まで拡大が難しい場合でも拡大することがありますので、非抜歯治療の可能性が高まります。

4.顎間ゴムが効きやすい

矯正治療中は、顎間ゴムと呼ばれる小さな取り外し可能な輪ゴムを、上下の歯に掛けて頂く場合があります。このゴムにより、噛み合わせをしっかりした状態にしたり、受け口や出っ歯を改善したりします。従来型のブラケット装置に比べてセルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)では、個々の歯が自由に動けるような状態でワイヤーにつながれているため、弱い顎間ゴムでもとても良く効きます。

5.清掃しやすい、変色がない。

従来のブラケット装置はワイヤーをエラスティック等で留めるため周囲が不潔になりやすく、清掃性が悪かったのですが、セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)では、が不要になったので、とても清掃しやすくなっています。また、ワイヤーを留めるエラストマーの変色を心配することもなくなります。

ワイヤーを留めるエラスティックは変色します。

6.1回の治療時間が短い

ブラケットにワイヤーをとめるのに使用していたエラスティックが不要になりましたので、1回あたりの治療時間も短くなります。長時間口を開けっ放しにするのは辛いものですから、治療時時が短くなったことにより気楽に通院して頂けます。お子様の矯正治療でメリットを感じます。

7.来院間隔の間隔が長くなる

デーモンブラケットとハイテクワイヤーを組み合わせて使用すると、長期間にわたって持続的な矯正力と効果を発揮しますので次回の来院まで、矯正力が有効に働きますので、来院頻度が2~3か月の来院で済むことがあります。

8.患者さんごとの生理的にあった治療である

自然な歯列の側方拡大効果など、患者さん各人の持てる力を引き出した結果です。また、弱い矯正力のおかげで、食事中の歯が噛み合わさった時でも、歯と歯を支えている歯槽骨・歯周組織との間で、本来持っているダイナミックな反応が起こりますので、歯の生理的な状態が維持されます。セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)では強引に歯を並べるのではなく、無理をせず自然な変化として歯をキレイに並べてゆきます。

9.歯への負担が少ない

セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)では、従来よりも弱い矯正力によって歯に与えるダメージを最小限にできるため、咀嚼筋や顎関節にかかる負荷も軽減されます。歯根吸収も少ない。

セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)の欠点

セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)の欠点は次の通りです。

1. 従来型ブラケット装置に比べて大きさが大きい。

ブラケット装置にワイヤーを結紮する機構が付いているため、装置が従来型ブラケット装置にくらべ大きくなります。

2.ブラケット装置の価格が高い

ブラケット装置に複雑な機構が付いているので、価格が高くなります。

まとめ

セルフライゲーション型マルチブラケット装置は、従来型ブラケット装置を用いたマルチブラケット法にくらべ利点が多いく、おすすめです。しかし、当院では、治療費が従来型ブラケット装置のマルチブラケット法より高くなります。
また、セルフライゲーション型マルチブラケット装置は、世界中では数十種類も販売されているらしいのですが、その中でも歴史が古くかつ毎年のように進化、改良してバージョンアップしているデイモンシステムをお勧めいたします。

デイモンシステムは、単にマルチブラケット装置にセルフライゲーション型ブラケットを使用しているのでなく、ハイテクワイヤーとの組み合わせにより、個人個人の口腔内(あごの大きさや口の周囲の筋肉など)に合った歯の移動を可能にしていますので、生体に優しいマルチブラケット装置の矯正治療といえます。だから、世界で700万症例以上も売れたと思います。それは単にブラケットの完成度が高いだけでなく、セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)で治した症例のクオリティがあまりにも高かったのだと思います。

2023.12.14

立場駅前歯医者矯正クリニックでの虫歯治療

虫歯は、細菌による感染症です。
歯のエナメル質が、破壊し細菌が象牙質に達すると虫歯の進行が早くなります。

細菌に感染した象牙質は、取り除き無菌な象牙質にしなければなりません(虫歯治療で穴が大きくなったと思うのはこのためです。)、感染した象牙質は変性しているので削っても痛くないようにのするが、健全な象牙質に達すると痛みます。被せ物をしているのに中で虫歯なになっているのは、なぜですかと質問される方がよくいますが、被せ物と歯の境目から虫歯が進行する場合とあとは・・・・・・です。

当クリニックでは、ダイアグノデントとう蝕検知液を用いてむし歯の治療をします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイアグノデントは、カボ社(ドイツ)が開発したレーザーを用いた虫歯診断装置で。むし歯の進行状況を数値表示する。この機器でむし歯を検査することで、レントゲン、肉眼で発見できない初期のむし歯を発見できる、探針などのハンドインスツルメントを用いた場合に起こる初期むし歯を破壊、悪化させる事がない、ハンドインスツルメントでは発見できないしずく形状の裂溝の底のむし歯も発見できる、むし歯の経過を数値的に追えるため、経過観察中のむし歯の進行度合いが把握できるなどの客観的な検査ができます。

初期のむし歯は、ダイアグノデントを用いて歯の表層のエナメル質内か、エナメル質を通り越して象牙質に達しているか調べます。当医院の場合、エナメル質内のむし歯は、削らないで、むし歯の進行を抑制していきます。(歯の溝が黒いから無闇に削ることは、しません)

象牙質に達したむし歯は、むし歯に侵されている部分を染め出して丁寧に取り除いていきます。むし歯を染め出すには、う蝕検知液を使用します。
う蝕検知液とは、むし歯に侵されている部分を染める薬液です。う蝕検知液を使用しないとむし歯の部分がどこまで広がっているかは目に見えないため、術者の手指の感覚で判断するしかありませんでした。むし歯の部分は、細菌に侵されている部分なので、完全に取り除くことが二次カリエスなどの発生させないために必須です。う蝕検知液を使うことで、細菌に侵されて再石灰化不可能な齲蝕象牙質外層を染色することができるため視認による治療が可能で、むし歯の取り残しを防ぐことができます。当医院では、 ダイアグノデントと相関性があるカリエスチェックを使用しています。う蝕検知液をダイアグノデントを併用してむし歯の部分を取り除いて、詰め物や被せ物をしていきます。

2023.10.27

子どもの矯正

当医院の矯正治療は、第一期治療と第二期治療に分かれています。
第一期治療は、乳歯列から永久歯萌出完了までです。
第二期治療は、永久歯萌出完了後でいわゆる大人の矯正治療です。

子どもの矯正(小児矯正)

第一期治療(子ども矯正)は、お子様に負担の少ない治療を第一にお勧めします。
当院での第一期治療は、お口の周囲の筋の緊張を取り除いたり、機能回復、あごの成長を促進したりして、永久歯歯列(歯並び)への準備期間としています。
矯正装置には、日中1時間と就寝時に装着する装置から食事と歯を磨く時以外一日中、着けていなければならない装置があります。個々の歯並びの悪さ(不正咬合)によってどのような装置で治療していくか変わります。
また、成長期のお子さんの矯正治療は、成長に合わせて矯正装置を変えていかなければいけません。

装着の種類

可撤式矯正装置(ご自分で取り外ししてもらう)

機能矯正装置

口の周りの筋肉の緊張を緩和したり、気道の確保等をおこない歯列(歯並び)を適切な位置に誘導します。(図1,2,3,)

利点

装着している時間が、就寝時、昼間1~2時間で、装着時間が短い。食事時は、外すので、食品制限がない。歯みがき時も外して磨くので、今まで通りでよい。

欠点

一日装着して次の日装着しない、装着を指示通りしない、装着しないと治らない。歯の捻転(歯がねじれてはえている)は、治しにくい。

床矯正装置

あごを側方または前方に広げて、永久歯のはえ代わるスペースを確保する。
1~3歯を移動させたりする装置。(図4,5,6,)

利点

食事時は、外すので、食品制限がない。歯みがき時も外して磨くので、今まで通りでよい。

欠点

食事と歯みがき時以外は、装着していないといけない。一日装着して次の日装着しない、装着を指示通りしない、装着しないと治らない。歯の捻転(歯がねじれてはえている)は、治しにくい。

固定式矯正装置

歯に矯正装置が付いたままで、治療終了まで取り外ししない装置です。(図7.8.9)

利点

固定式なので、歯に持続的な矯正力がかけられる。

欠点

食事時は、食品制限がある。歯みがきが、難しくなる。

これらの装置は、不正咬合(悪い歯並び)の状態を精密検査、診断して、個人個人に合った装置をいれていきます。(当院の歯科治療は、検査をしないで診断することは、勘で治療することですので、おこなっていません。)

治療費用について

歯並びやあごの成長状態が個人個人で違います、治療を始める時期で第一期治療期間が変わりますので、一律いくらという料金体系でなく、装置ごとの費用を頂いています。
(装置は、あごの成長に合わせて交換が必要になります。)
既成も機能矯正装置(マルチファミリー、オーソテイン、U-concept、ムーシールドなど)…¥30,000円
拡大床、リンガルアーチ、バイオネーター、チンキャップなどオーダーメイドの装置…¥50,000円~
セクショナルアーチ(部分的なマルチブラケット装置)…¥120,000円(片顎)

矯正治療の注意点

※日本矯正歯科学会の記載例を引用

  • • 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
    • 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
    • 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
    • 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
    • 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
    • ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
    • ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
    • 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
    • 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
    • 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
    • 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
    • 矯正装置を誤飲する可能性があります。
    • 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
    • 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
    • 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
    • あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
    • 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
    • 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
2023.09.05

歯科矯正治療はいつから

歯科矯正治療はいつから始めれば良いのかわからない方が多いと思います。
歯科矯正治療は早ければ早いほど良いと言うわけではなく各の歯並びの(不正咬合)の状態がどのような原因でできているかによって治療の時期が変わります。
大まかな歯科矯正治療のステージと悪い歯並びの状態をお話しします。

ざっくりした歯科矯正のステージは、子どもの矯正治療と大人の矯正治療になります。 子ども矯正治療(小児矯正)は、暦年齢で2歳から11歳位まで、6才臼歯の前方の歯に乳歯がある状態。大人の矯正治療は、11歳以上から、6才臼歯の前方の歯がすべてはえている状態。大人の矯正治療は、いつからでも歯科矯正治療は、始められます。

歯並びの悪い状態を大きく分けると、次の3つになります。

1. 上あご、下あごの骨格自体に異常がある場合。
2. 歯の大きさとあごの大きさが合わない場合。
3. 口の周囲の筋肉の異常によって起きている場合。

あごの骨格に異常がある場合は早期から治療を必要とし、顎の成長のコントロールが必要になり、あごの成長が終わるまで長期間治療しなければならないことが多いです。
歯の大きさとあご(歯が並ぶ)の大きさにアンバランスがある場合歯の大きさとあごの大きさのスペース不足量が5から8ミリな位ならば顎を広げることにより改善が見込まれるので顎を広げれば良いと思います。治療時期は、上下の前歯が出てからが良い。逆にスペースの不足量が10ミリ以上なら永久歯を抜歯した方が良いと思います。この場合、永久歯がはえそろうまで観察します。スペースがあまりにも不足してるのに抜歯しないと前歯が前方に出てしまい出っ歯になってしまいます。
口の周りの筋肉の機能による歯並びが悪くなっている場合は筋のトレーニングを行う必要がありそれを行える年齢であればそれを行える年齢であれば早期に改善した方が良いと良いでしょう。また口の周囲筋によるに関しては2018年に口腔機能発達不全症と言う新しい病名が保険に掲載され健康保険適用となっております。健康保険適用には一定の診断基準がありそれにご相談ください。

まとめると、

・上あご、下あごの骨格自体に異常がある場合は、早期に治療開始。
・歯の大きさとあごの大きさが合わない場合は、あごを広げて間に合う場合は、上下前歯がはえてから開始。
・口の周囲の筋肉の異常によって起きている場合は、早期に開始。

大まかな目安としてお話ししましたが、上記の要因が複合して歯並びが悪くなっている事が多いですので、ご心配な方は、遠慮なくご相談ください。

次は、歯科矯正治療を受けるまでの順序についてお話しします。


矯正治療を始めるまでの流れは、相談→矯正基本検査→検査結果、治療法、期間等の説明→矯正治療開始の順序になります。
矯正相談は、お口の状態を拝見させていただき、現状と今後の成長変化、治療法等の概要をお話しします。
矯正基本検査は、レントゲン検査(パノラマレントゲン、セファロレントゲ)口腔内写真、口腔内模型の検査をして診断します。

レントゲン検査

口腔内写真

口腔内模型

2023.05.02

健康寿命を延ばす歯科医療

中高年から寝たきり予防

近年は、ランニングする人が多く、高齢者になっても健康でいたいと思う人は少なくないと思います。

身体の老化現象は、口の中にもでてきます。

加齢に伴って身体の生理的な機能低下し、ストレスに対して抵抗性がなくなっていき生活に障害を生じ、寝たきり状態や死亡などに陥りやすい状態をフレイルといいます。

お口のフレイルは、オーラルフレイルといいます。フレイルの状態は、初期であればあるほど回復し易いです。

 

歯のコラム

 

オーラルフレイルを抱える人は、そうでない人に比べて、

身体的フレイル2.4倍、

サルコペニア(筋肉減少症)2.1倍、

要介護認定2.4倍という報告があります。

 

オーラルフレイルは、虫歯や歯周病などで、歯がなくなり、噛めない入れ歯、食物をよく砕けない被せ物などが入っていると、お口の機能が徐々に低下します。

機能低下していくと食欲不振、低栄養となり、最終的に要介護になります。

それらを早期に発見し、改善することで、いつまでも美味し食事ができて健康寿命を延ばす事ができます。

当院では、口腔機能低下の検査、治療も行っています。

食べこぼし、噛みづらい、食事に時間がかかる、むせ込む、タンが絡む、薬が飲みにくい、があれば、オーラルフレイルかもしれません。

 

歯のコラム

 

オーラルフレイルの検査は、採血ように痛い事はしません。

検査は、2018年に健康保険適用になり国も要介護者の増加への対策を考えてきたと思います。

検査適応の年齢も60歳から最近50歳に変更されました。

健康保険適用の検査は、7項目あり、3項目以上該当すれば口腔機能低下症と診断されます。

 

検査項目は、

・お口のなかの清掃状態

・お口の中の乾燥状態

・噛む力

・舌・唇の運動機能の状態

・舌圧の測定

・咀嚼機能検査

・嚥下機能検査

7つです。

 

治療は、該当する検査項目で治療計画がたてられますので。個人個人によってかわります。

健康保険適用の治療は、国の定めた規則がありますので、それに沿って行っていきますので、ご了承ください。

オーラルフレイル治療で、筋肉のトレーニングがありますが、途中でトレーニングやめてしまうと戻ってしまいますので、患者様の協力が必要となります。

先ずは、健康寿命延ばし死ぬまで美味しい食事を摂るには。

虫歯や歯周病などで、歯がなくなり、噛めない入れ歯、食物をよく砕けない被せ物などをきちんと治す事が大切です。

口腔機能低下(オーラルフレイル)の治療は、総合的な歯科治療が、必要ですので、検査、治療に関しては主治医と良くご相談ください。

2023.04.25

う蝕とは

象牙質の虫歯と歯髄(俗に神経)

前回、コラムでお話したエナメル質が脱灰しで(溶け出して)その下層の象牙質まで進行したものは、 C2(う蝕第2度)と分類される。

昔、歯科大学で象牙質と歯髄(俗に神経)別々に習いましたが、現在は、象牙質歯髄複合体として教科書に記載されています。

象牙質は、歯髄につながる重要な部分です。

象牙質は、下層にある歯髄(俗に神経)に向かって細い管あり、虫歯菌は、その管に入り込んで虫歯の進行に伴って歯髄に入ります。

エナメル質に比べ象牙質は、有機質が多いので、虫歯の進行は早く進みます。

早期に治療することが、最も大切です。 

早期発見するには、しみる、痛いなどの症状がでる前に歯科医院を受診し検査を受けることが大切です。

検査は、歯科医師による視診(見ること)、触診、光を使用する画像検査法、レーザーを使用した検査、レントゲン検査などがあります。

歯は、複雑な形をしているので、色々な検査を組み合わせて行います。

レントゲン検査は、撮影機械によっては隣接面(歯と歯の隣合っている面)の虫歯が写らないものがありますので、注意が必要です。

器械を使う検査は、医院よって内容がかわりますので、気になる方は主治医とご相談ください。

早期の象牙質虫歯は、健康保険範囲内の治療で対応可能です。

不幸にも、虫歯が進行して歯髄の近くまで進行した場合は、虫歯菌を全て取り除き、歯髄(俗に神経)を保護して治療することができます。

象牙質の虫歯が歯髄に到達した状態をC3(う蝕第3度)です。

う蝕の細菌が感染を起こし、激しい痛みがあると、神経を取らなくてはなりません。

症状がない場合は、神経をとらずに残す治療が可能です。

歯髄を残す治療は、感染した歯髄を取り除いて、露出した歯髄に薬剤を貼付し、しっかり封鎖する処置になります。

これに使用する薬剤は、健康保険適用の薬剤、保険外の薬剤がありますが、よりよいものは保険外の薬剤になります。

これらの処置は、歯科医院にごとに内容(マイクロスコープを使用したり、ラバーダム使用など)、価格が異なりますので、主治医と良くご相談されるのがよろしいでしょう。

歯の神経を取ると歯がもろくなったり、虫歯の再発に気づきにくいことが原因で
歯の寿命が短くなったりなどのデメリットがあります

ご自身の歯を末永く残すには、できるかぎり神経を取り除かないことが大切です。
そこで近年注目されているのが、MTAセメントなどを使用した歯の神経の保存治療です。

2022.09.22

虫歯についてのお話し

虫歯についてお話をする前に歯の構造についてお話しいたします。

歯は外側からエナメル質、象牙質、歯髄(俗に言われる神経)の三層構造になっています。
歯の根っこの部分は外側からセメント質と象牙質、歯髄からなっています今回は歯の根っこの部分は除いてお話しいたします。

歯の外側にあるエナメル質は95%がハイドロキシアパタイト結晶という無機質5%水分と有機質でなっています。
象牙質は、無機質70%、有機質18%、水分12% からなっています。
象牙質は硬くて脆いエナメル質の裏打ち して脆さを補強しています。
虫歯は、エナメル質が溶けることによってしょうじます。 エナメル質はカルシウムとリンからなるハイドロキシアパタイトという結晶からなっていますが、結晶のカルシュウム、リンが、虫歯菌の出す酸によって溶けることで結晶が壊れていきますが、初期の虫歯場合は、結晶内にカルシュウム、リンなどが再び入ることで再生します。

また、食事により、口の中が酸性になり、この時歯のカルシュウム、リンなど溶け出しますが、唾液の働きによって中性に戻りますこの時.溶けだしたカルシュウム、リンなどは、再び入りますので、食後1時間くらいは、ブラッシングを控えた方がよいでしょう。
エナメル質の虫歯の自然治癒を促すためにフッ素を歯に塗ることは、有効です。
虫歯になってしまうのは、虫歯菌だけでなく食事のとり方など色々な要因が相まっています。
健康保険の範囲では、磨き残し検査、初期虫歯があればフッ化物塗布ができますが、より詳しく虫歯のなりやすさと虫歯のリスクに抵抗する要因のバランスを考えた虫歯予防は自由診療になります。

Q&A

【Question】

エナメル質は、歯が生えたら変化しないのでしょうか?
【Anser】
エナメル質は、生えてから結晶の成長が続きます次第に結晶の間隔が狭まるとともに石垣を積みが積み合わせたような構造になっていきます。

【Question】

フッ化物濃度は、高ければ高いほどよいでしょうか?
【Anser】
初期虫歯がある場合に高濃度のフッ素を塗ることは、エナメル質内部へのフッ素の侵入を邪魔しますので、高ければよいわけではありません。個人個人のお口の中の状態で判断した方がよいでしょう。

【Question】

年齢によりフッ素濃度は、変えた方がよいでしょうか?
【Anser】
年齢によって変える必要があります。

【Question】

フッ素を塗ることで、虫歯にならないのでしょうか?
【Anser】
フッ素塗布は、虫歯になりにくくしますが、歯磨きで汚れを落とすことが、一番です。

【Question】

虫歯予防でシーラントは、どうですか?
【Anser】
シーラントは、虫歯になりやすい方、歯の溝が深い時には、有効です。シーラント材を歯に接着させるのに歯の表面を薬剤処理により、エナメル質が損傷するリスクがあります。

【Question】

cap systemは、できますか?
【Anser】
当クリニックは、Cap system認定クリニックです。(但しCap systemは、まだ、研究段階で完全に証明されていませんので、自己責任でお受けください。)

【Question】

歯科医院でのフッ化物塗布は、どのくらいの頻度で、行えばよいのでしょうか?
【Anser】
年1~2回(6か月に1回)で良いでしょう。

【Question】

フッ化物塗布は、大人でも有効でしょうか?
【Anser】
エナメル質は、年齢とともに成熟し、虫歯になりにくくなりますが、歯周病で歯ぐき下がることで歯の根が見えてくるとそこから虫歯になりやすくなるので、有効です。

【Question】

子どもの歯に時々白い斑点が見られますが、フッ素と関係がありますか?
【Anser】
歯ができる過程の初期に過剰なフッ素を摂取すると白い斑点が現れる事があります。日本では、上水道に高いフッ素濃度なく、フッ素が原因の白斑は、考えにくく、他の原因よると考えられます。

【Question】

フッ素以外で虫歯予防は、できますか?
【Anser】
できます。虫歯の原因などリスク因子とそれらに対する防御因子を調べ、それを行うことによって予防は可能です。

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