歯周外科治療とは?手術が必要なケースと流れ・リスクについて

歯科コラム 2025年11月28日(金)

こんにちは。横浜市泉区「立場駅」より徒歩1分にある歯医者「立場駅前歯医者・矯正歯科」です。

歯周病の手術をしているイメージ

日本人の成人の約7〜8割が何らかの症状を抱えているといわれるほど、歯周病は身近な病気です。初期段階であれば基本的な治療で改善が期待できますが、進行した歯周病に対しては、歯周外科治療という外科的なアプローチが必要になる場合があります。

そのため、「通常の歯周病治療だけでは改善が難しいと言われた」「歯茎の手術が必要と診断されたけれど不安」とお悩みになる方は少なくありません。

この記事では、歯周外科治療の基本的な知識から、どのようなケースで必要になるのか、具体的な治療の種類や流れ、そしてメリット・デメリットまでを詳しく解説します。歯周外科治療への理解を深める参考にしてください。

歯周外科治療とは

歯周外科治療について説明する歯科医

歯周外科治療とは、歯周病によって損傷した歯茎や骨に対して、外科的なアプローチで改善を目指す治療です。

歯周病は、歯と歯茎の間に歯周ポケットと呼ばれる溝ができ、そこに細菌が入り込むことで進行します。初期の段階であれば、歯石の除去やブラッシング指導などの基本治療で改善が期待できます。

しかし、進行すると歯周ポケットが深くなり、通常の器具では奥まで届かなくなります。その結果、汚れや感染した組織が残り続け、症状が悪化する原因になります。この状態を放置すると歯を支える組織がさらに失われ、最終的に抜歯が必要になることもあります。

このようなケースで、歯を守るために行うのが歯周外科治療です。歯茎を切開して奥深くの汚れを直接取り除いたり、失われた骨や歯茎の再生を促したりする処置によって、歯周病の進行を食い止めます。

つまり、歯周外科治療の目的は、できる限り歯を残すことにあります。重度の歯周病でも、外科的な処置を適切に行うことで、長期的に歯を維持できる可能性が高まります。

外科と聞くと大がかりな手術をイメージされるかもしれませんが、多くの治療は局所麻酔で行う短時間の処置で、入院の必要はありません。負担を抑えながら、歯の健康を守ります。

歯周外科治療が必要になるケース・できないケース

歯周外科治療が必要になるケースとできないケースについて説明する歯科医

どのような場合に歯周外科治療が行われるのでしょうか。ここでは、歯周外科治療が必要になるケースと、できないケースをご紹介します。

歯周外科治療が必要になるケース

まずは、具体的にどのような状況で外科的処置が必要になるのかを見ていきましょう。

歯周ポケットが深い場合

歯周ポケットが5mm以上に深くなった中等度から重度の歯周病では、通常の器具では奥まで届かず、歯石や感染組織を取り除くことが困難です。このような場合に、外科的処置が必要となることがあります。

骨の形態に異常がある場合

歯を支える骨が不規則に吸収され、凹凸ができているとプラークや歯石が溜まりやすくなり、セルフケアが難しくなります。外科的に骨の形を整えることで、清掃しやすい環境を作ります。

歯茎が下がって歯根が露出している場合

歯茎の退縮によって歯根が見えて見た目が気になる、知覚過敏があるといった症状が出ることがあります。特に、前歯では審美的な影響が大きいため、歯肉移植による改善が検討されます。

歯周外科治療ができないケース

すべての患者さまに歯周外科治療を行えるわけではありません。全身の健康状態や生活習慣によっては、外科的処置が難しい場合もあります。

ここでは、外科治療を行えない代表的なケースをご紹介します。

全身疾患のコントロールが不十分な場合

糖尿病が適切に管理されていないと、治癒が遅れたり感染リスクが高まったりします。また、心臓病や高血圧など循環器疾患がある方、血液をサラサラにする薬を服用している方も、出血や全身への影響を考慮して慎重に判断しなければなりません。

口腔衛生管理が不十分な場合

外科治療は環境を整えるための処置であり、その後のセルフケアが欠かせません。ブラッシング指導を受け、ご自身のセルフケアで一定の清掃状態を維持できることが、治療を行う上で非常に重要です。

喫煙習慣がある場合

タバコに含まれる有害物質は血流を悪化させ、治癒を妨げます。治療成績も大きく低下するため、禁煙してから治療を受けることが望ましいでしょう。少なくとも、減煙への努力は必要です。

歯周外科治療の種類

歯周組織再生療法のイメージ

歯周外科治療には複数の方法があり、患者さまの状態に合わせて選択されます。ここでは、代表的な治療の種類を紹介します。

フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)

歯茎を切開してめくり、歯周ポケットの奥深くに残っている歯石や感染した組織を直接確認しながら丁寧に取り除く治療です。処置後は歯周ポケットが浅くなり、ブラッシングがしやすくなります。

清掃性が向上することで、再発のリスクを減らせる点も大きなメリットとして評価されています。

歯周組織再生療法

重度の歯周病で骨が失われると、フラップ手術だけでは十分な改善が得られない場合があります。そのようなケースでは、歯槽骨や歯根膜の回復を促す再生療法が選択肢となります。

代表的な方法にはエムドゲインなどの再生材料を用いるものがあり、失われた組織の再生を助け、歯をできるだけ長く残すことを目指します。

歯肉移植術

歯茎が下がって歯根が露出している場合には、歯肉移植術が検討されます。主に上顎の口蓋から健康な歯肉を採取し、露出した歯根部分に移植して覆う方法です。

審美的な改善だけでなく、知覚過敏の軽減や歯根の保護にもつながります。笑ったときに歯茎が目立つ方や、冷たいものがしみて生活に支障を感じている方にとって、生活の質を大きく向上させる治療になるかもしれません。

歯周外科治療のメリット

歯周外科治療のメリットのイメージ

歯周外科治療には、患者さまにとって多くのメリットがあります。

歯を残せる可能性が高まる

進行した歯周病でも、歯茎を開いて患部を直接確認しながら清掃できるため、非外科的な治療に比べて汚れの取り残しが少なく、より精密で確実な処置が可能です。これにより、長期的に良好な経過が期待できます。

セルフケアがしやすくなる

深い歯周ポケットを改善することで、ブラッシングやフロスが届きやすくなり、日常のケアがしやすくなります。治療後の健康状態を自分自身で維持しやすくなる点も、大きなメリットでしょう。

歯周組織の再生が期待できる

再生療法を併用した場合、失われた骨や歯茎が一部再生されることがあります。これによって歯の安定性が増し、長く自分の歯で噛める状態に近づけます。

審美面の改善ができる

歯肉移植などにより下がった歯茎を整えることで、見た目の印象も改善されます。笑顔に自信を持てるようになる点も、患者さまにとって大きなメリットです。

歯周外科治療のデメリット

歯周外科治療のデメリットのイメージ

歯周外科治療には多くのメリットがありますが、同時にデメリットやリスクについて理解しておくことも大切です。

術後の違和感

歯茎を切開するため、術後には腫れや痛み、出血が数日続くことがあります。知覚過敏が一時的に起こり、冷たいものがしみる場合もありますが、多くは時間の経過とともに改善します。

見た目の変化

治療部位によっては歯茎の位置が変わり、歯が長く見えたり、隙間が目立ったりすることがあります。特に、前歯では審美的な影響に注意が必要です。

費用面での負担

多くの処置は保険適用ですが、再生療法など一部の治療は自費となる場合があります。また、良い状態を維持するためには定期的なメインテナンスが欠かせません。

治療には限界がある

外科治療を行っても必ずしも元の状態に戻るわけではありません。重度の歯周病では、長期的に歯を保存することが難しいケースもあります。

また、術後のセルフケアや定期的な管理が不十分だと、歯周病が再発する可能性が高まります。

歯周外科治療の流れ

歯周外科治療のためにレントゲンを撮影するイメージ

歯周外科治療は、段階的に進められます。ここでは、一般的な治療の流れを確認しましょう。

初診・検査

まずは歯周病の進行度を確認するため、歯周ポケット検査、レントゲン撮影、歯の動揺度のチェックなどを行います。これらの情報をもとに治療計画が立てられます。

基本治療

外科治療の前には必ず基本治療が行われます。歯石取りや生活習慣の見直し、ブラッシング指導によって炎症を落ち着かせる段階です。

再評価

基本治療後に炎症がどの程度改善したかを確認し、外科治療が必要な部位を特定します。ここで初めて、外科処置が本当に適切なのか判断されます。

手術

局所麻酔を行い、選択された方法に基づいて手術を実施します。時間は部位や内容によって異なりますが、一般的には30分から1時間程度で終わることが多いでしょう。

術後管理

処置後は縫合され、数日から1週間ほどで抜糸するのが一般的です。治癒を促すため、処方された薬を正しく使用し、刺激の少ない食事を心がけることが大切です。

メインテナンス

治療が完了した後も、良い状態を維持するためには定期的な通院が欠かせません。歯周病は慢性的な疾患のため、歯科医院でのチェックとクリーニングを続けることで再発を防げます。

まとめ

歯周外科治療をして笑顔の女性

歯周外科治療は、歯周病が中等度から重度に進行した際に、歯を守るために行う大切な治療です。基本治療では改善が難しい場合に実施され、歯周ポケットの改善や歯を支える組織の安定を図ることができます。

処置にはメリットとデメリットがありますが、正しく理解し適切にメインテナンスを続けることで、長期的に歯を守るための大きな支えになります。歯周病の進行や治療方法について不安をお持ちの方は、ぜひ歯科医師に相談し、ご自身に合う治療を確認してみてください。

歯周外科治療を検討されている方は、横浜市泉区「立場駅」より徒歩1分にある歯医者「立場駅前歯医者・矯正歯科」にお気軽にご相談ください。

当院は、わかりやすい説明と精密でなるべく痛くない治療を提供することを意識しながら、さまざまな診療にあたっています。虫歯・歯周病治療や小児歯科、予防歯科だけでなく、矯正治療などにも力を入れています。

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